労務監査とは?

労務監査とは「企業の労務コンプライアンス(労働関係法令遵守)体制を調査すること」をいい、コンプライアンスおよびリスクマネジメントの観点から、労務管理における「制度」「規程」「運用」について監査を行うものです。具体的には、労務帳票・規定類等書面が整備されているか、就業規則等で決められたルールで運用されているかを、ヒアリングやアンケートによって調査し、監査結果を評価します。
「労務監査」は会計監査とは異なり、任意監査であるため、定期的に行っていない企業も多いのが現状です。しかし、労務監査は潜在的なリスクへの対策となるほか、事業承継、IPO、M&Aに際しても会社の価値を大きく左右するポイントになります。

■労務監査のメリット
労務監査のメリットとしては以下が挙げられます。
・適正な⼈事労務管理リスクの把握、現状の課題が明確になる
・労務リスクを回避し、企業の活力を高める
・M&AやIPO準備段階において労務監査は必要不可欠
・労働基準監督署調査、年金事務所調査の対策になる

■労務監査の特徴
労務監査を受けることによって、例えば、同一労働同一賃金に基づく差額賃金の未払い、賃金請求権の消滅時効延長や未払い残業代等の会社の潜在化したリスクを速やかに、そして正確に把握し、労務リスクへの正しい対処が可能になります。
M&AやIPO準備の場面でも労務コンプライアンスチェックは欠かせません。労務トラブルは、⼀度起きてしまうと企業イメージや信頼の失墜となるリスクが大いにありますし、企業価値や上場審査においても大きな影響を与えるからです。つまり様々な労働トラブルのリスクを事前に回避して会社を守るという特徴があります。

昨今、人材確保は重要な経営課題となっていますが、労務監査は人材採用面においてもプラスに働きます。優秀な人材のリテンションのためにも、適切な労務管理のため、労務監査の重要性はますます高まってくるでしょう。