リファレンスチェックとは?~質問内容とポイントについて

■リファレンスチェックとは?
リファレンスチェック(Reference Check)とは、中途採用を行う過程で、採用予定者や内定候補者の前職での勤務状況や、人物像などについて関係者に問い合わせることです。つまり採用企業が求職者や内定予定者に対して実施する確認作業で、履歴書や面接では確認できなかった内容を調べるためのものです。前職の上司や前々職の上司などに聞くのが基本で、今までの職場での勤務態度がどうであったか、仕事への取り組みや実績がどんな様子だったかなどを調べています。外資系企業ではリファレンスチェックをするのが標準的になっていますが、日本企業でも幹部採用などを中心に、実施する企業が増えつつあるといわれています。

■前職調査(バックグランドチェック)との違いに注意
似たようなものに前職調査(バックグランドチェック)がありますが、リファレンスチェックとは調査内容が異なります。
前職調査とは、職歴・経歴に詐称がないか、コンプライアンス上のリスクがないかを事前に調査することです。企業によってはリファレンスチェックと呼びじっしされることもありますが、内容などことなりますので両者の違いには注意しましょう。
前職調査は、専門会社に依頼し、客観的な評価を得るのが一般的です。履歴書や職務経歴書の記載内容と相違ないか調査するためには、企業としては前職調査を内密に実施したいところですが、応募者に告知せず実施すると個人情報保護法に抵触する恐れがあります。

■リファレンスチェックの目的
リファレンスチェックの目的として最も典型的なのが書類や面接による選考だけでは見抜くことができない求職者の人物像を正しく把握することです。書類に書かれているわずかな内容や数十分程度の面接で求職者がどんな人なのかを深く理解するのは簡単ではありません。選考の際には大げさな表現をして事実とやや離れた内容を求職者がアピールしている可能性も考えられます。リファレンスチェックでは採用プロセスの中で確認できなかったり、あらためて採用を考えたときに確認すべき事項として上がったりしたものを調べています。また、求職者が隠しているつもりはなかったとしても説明していなかったことで気になる点を調べるのも目的です。
またリファレンスチェックには能力や人柄といった点でミスマッチが起こるリスク、ミスマッチが引き金となり早期退職となった場合の企業が負担するコストを最小化する目的もあります。そのために、今までの職場でどのように仕事で能力を発揮してきたか、人間関係をどのように構築してきたかといった点を重点的に確認しているのです。

■リファレンスチェックの手法
リファレンスチェックには、書類形式と面接形式があります。書類形式の場合は、候補者からリファレンス先に渡し、回収して企業に提出することもあるでしょう。面接形式の場合、現在はZoomやスカイプ、Microsoft TeamsやGoogle Meetなどでのビデオ通話も増えています。電話での実施も一般的な方法です。

■リファレンスチェックのタイミング
リファレンスチェックが実施されるタイミングは基本的にオファーレターの前です。ただ企業によっては選考途中に行うところもありますし、オファーレターを受け取ったあと、つまり内定後に確認のために実施する企業もあります。

■リファレンスチェックの確認項目
リファレンスチェックでは勤務条件が確認されます。今までの職場への在籍期間、所属部署、業務内容が典型的な内容です。仕事をする上でどんな能力があるか、アピールしていた内容が正しいかを調べるのが主な目的になっています。また勤務態度の良し悪しや人柄についてもリファレンスチェックで確認されます。遅刻早退や残業などの勤怠状況に加え、一緒に仕事をしたときに受けた印象などをヒアリングするのが一般的です。周囲とのコミュニケーションが良好に行えていたか、リーダーシップがあるか、人柄として周囲への影響力が大きいかなどといった形で人間関係に関しても確認されます。さらには業務への適性を知るためにスキルについての確認も実施されます。職場でどのような実績を上げてきたかももちろんですが、より細かな点についてもヒアリングされることが珍しくありません。問題への対応力、業務の迅速さ、仕事への責任感などが代表例です。また、また一緒に働きたいと思うかといった端的な質問をすることもあります。

■リファレンスチェックを受けるメリット
応募企業からリファレンスチェックを受けることに対してネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、正当な情報を応募企業に提出しているのであれば、候補者にとってプラスになる可能性もあるのです。リファレンスチェックを受けるメリットとしては、以下が挙げられます。
①ミスマッチを防げる
採用のミスマッチは企業と本人、双方にとって避けたい結末です。候補者が企業の雰囲気や価値観と合わないことは採用/入社前に判明したほうがいいでしょう。リファレンスチェックでより詳細な候補者情報が伝わることで、採用担当者はより正確なマッチ度を測ることができます。ここで採用となれば双方がマッチしていることが確認されたということです。もし、不採用という結果になったとしても、ミスマッチで入社して苦労するより良いと考えることができます。

②正しく自分を理解してもらえるため働きやすくなる
リファレンスチェックは、第三者が候補者に関する企業の質問に答えます。企業側が履歴書や職務経歴書、面接での質疑応答で得る情報以上に候補者のことを詳しく知る手段の一つです。つまり、自分の強みや弱みなどを企業により深く知ってもらえる機会でもあります。

■まとめ
リファレンスチェックが行われるタイミングは、基本的にオファーレターの前です。ただ企業によっては選考途中に行うところもありますし、オファーレターを受け取ったあと、つまり内定後に確認のために実施する企業もあります。いずれにせよ内定に関わる重要なフェーズで実施されるものです。リファレンスチェックの行われる目的、内容、メリットなどしっかりと理解して対応していきたいものです。